2017.1理事長コラム「交通事故での鍼灸治療は認められないとのポスターを見て!」
整形外科医院にて「交通事故での鍼灸治療は認められません」というポスターが貼ってありましたと患者さんから情報提供がありました。まったくもってけしからんことです。是非ともその詳細を教えていただきたいです。その整形外科医院とポスターの作成元に対し厳重なる抗議を行いますので詳細な情報をお寄せください。
そもそも、整形外科医院の療養費取扱いを否定する取組みは、柔道整復施術療養費から始まりました。一番過激に取組んでいるのは、京都整形外科医会並びに京都臨床整形外科医会の取組みでしょう。京都整形外科医会と京都臨床整形外科医会が広報している「交通事故で通院の患者様へ」と題して、整形外科医院では鍼灸施術を受けてはならないとする活動を行っているのです。交通事故は鍼灸師が治療してはならないのか。そんなバカなことはありません。この様な姑息な手段でしかもの申せない整形外科医は愚かな者です。
私ども鍼灸師の立場から見て、看過できない不当・失当な記述内容となっていることから、ポスターの記載内容の撤回又は掲示を認めないとする活動をしてまいりましょう。
交通事故で鍼灸院に通院されている患者さんが整形外科をはじめとする医科の療養の給付を併せて求めるにあたり、特に「鍼灸院で施術を受けている場合」と断りを入れたうえで、はり・きゅうの治療を受けるために通院するのであれば、
①医療機関で治療を受け、さらに鍼灸院でも施術を受けられたならば、保険医療機関での治療を中止させていただくことがあること
②医療機関受診後、途中では鍼灸院で施術を受け、最後にまた医療機関での診断書などの書面の発行を希望されても作成できないことがあること
③交通事故当初より、鍼灸院にて施術を受けて、また別途、整形外科医院に診断を希望し初診しても、診断書の作成を断る場合があること
を嫌がらせのように患者さんに宣伝するポスターとお見受けいたします。
しかしながら、これらはいずれも、健康保険法等の公的医療保険各法に基づくものではないうえ、医療法や医師法、保険医療機関及び保険医療養担当規則等の関係法令にも何らの根拠がない「問題提起」であると強く懸念するものです。
ポスターには「治療を中止させていただくことがあります」、「後遺症診断書は作成できないことがあります」また、「後遺症診断書の作成をお断りする場合があります」との記述により、けっして療養の給付や書面交付を完全拒否しているものではなく、ケースによっては拒否する場合もあるという文面になっていることでしょうが、患者さんが受ける印象は、まさに「交通事故での鍼灸治療は認められない」ということになってしまいます。
このポスターを見た患者さんの実際の理解としては、
①医療機関に行くか、鍼灸院に行くかは二者択一の選択であり両方での受診は認められず。
医療機関の治療と鍼灸院の施術では考え方や方法が違うので、鍼灸院で施術を受けているのであれば、整形外科の医療機関での治療は受けられないのでは?
②治療途中で、鍼灸院で施術を受けていると、裁判になったなら整形外科の医療機関では症状経過が分からないから後遺症診断書が作成できないとの不利益が生じるのでは?
③事故当初より鍼灸院に通っているとその後、整形外科の医療機関に来られても整形外科では医学的に症状の説明ができないことから、後遺症診断書の作成ができないとの不利益が生じるのでは?
との、すべてにおいてマイナス面のみを強調されたポスターでしょう。
東鍼協といたしましては、組合員である施術者たる鍼灸師の立場と治療方策を守るため、また、患者さんの保護の見地からは、患者さんが安心してはり・きゅうの施術を受療できるようにするため、抗議活動を行いますので情報提供願います。
このポスターにより「鍼灸は支払われない」みたいな整形外科医院の取組みは、患者さんが治療を自由に選択できる「医療を受ける権利」を著しく阻害するものであることからけっして許してはなりません。