あいさつ
組合員の治療家の皆様のためにそして患者さんのために東鍼協は全力を尽くします
私ども東京鍼灸マッサージ協同組合は皆様方組合員の先生方のご支援とご協力を得ながら、「患者さんに向き合う治療家の本懐」を追及すべく、多くの講習会を通じて患者さんに役立つ治療方策の場を提供いたします。また、私ども協同組合の設立の柱である「患者さんのために“保険”で治療を受けられる環境づくり」に組合を挙げて取り組んでおります。
平成11年9月の組合設立以降、一貫して患者さんが鍼灸治療を受け易くするための取組みを20年以上にわたり尽力して参りましたが、未だ道半ばであります。
それでも本年4月以降には、あはき療養費にも受領委任の取扱いが始まることは、まさに「ご同慶の至り」です。残念ながら保険者の自由裁量権を認めたことはけしからんことですが、それでも後期高齢者医療広域連合や国民健康保険を主体にした保険者が、保険の制度化としての取り扱いである受領委任に移行してくれるのであれば、これは間違いなく「朗報」といえましょう。
一方、健保組合におかれては先のアンケート結果でも明らかになっているとおり、受領委任が導入されてもこれには応じず、逆にさらなる償還払いへの移行手続きを積極的に進め、受領委任と代理受領、そして償還払いが混在する環境を少しでも償還払いに結集する働きかけを行うというのです。これを柔整療養費にも「飛び火」させて、柔整療養費の償還払いの導入を狙っているようにもお見受けするのです。このような基本的動向をまったく理解できない療養費検討専門委員会など、業界のために本当に役立っているのか疑問になります。療養費はあくまで被保険者に帰属する権限であって、私たち治療家の権益ではないことは十分に承知していますが、保険適用の安定的な運用は、まさに私ども治療家にとってもありがたく、患者さんが少しでも安価・低廉な費用で効果の高い私たちの施術を受け易くなる環境に資するのであれば、こんなに嬉しいことはありません。
はり・きゅうの保険取扱いは、15年も前に療養費の期間・回数制限を完全撤廃したにもかかわらず、昨年より新たに“1年以上かつ月16回以上の施術に係る施術継続理由・状態記入書”の添付が義務付けられました。つまり、実質的には新たな期間・回数制限の再導入がされてしまったということになりますので、これを受け入れた検討専門委員会は評価できません。
はり・きゅう療養費は、かつての70億円市場の療養費取扱高から現在の約400億円まで拡大してきましたが、その背景には、私も含めて活動した先生方の苦労の賜物であります。そこには、患者さんのために少しでも施術を受け易い環境をご用意しようという思いが導いた貴重な闘いの歴史があるのです。
私ども東京鍼灸マッサージ協同組合は、社会保険審議会医療保険部会のあん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会の席上において認められたヒアリングに是非とも具体的要望を提起しながら、積極的な活動をして参ります。
併せて、さらなる充実した学術講習会等を企画して、組合員の皆さまを後方より全力でお支えして参りますことをお約束いたします。
鍼灸マッサージの明るい将来ビジョンを構築し、患者さんに安心をもたらし、そして患者さんからの信頼を私たち治療家の一人一人が得られるように、今日も東京鍼灸マッサージ協同組合は活動します。
理事長 上田 孝之(元厚生労働省療養指導専門官)